第一次世界大戦という激動の時代を舞台に、スパイ組織「キングスマン」の誕生を描いた映画『キングスマン:ファースト・エージェント』。
前作『キングスマン』、『キングスマン:ゴールデン・サークル』をご覧になった人も多いのではないでしょうか?
今作は、シリーズ3作目にして、秘密組織「キングスマン」の成り立ちを描くというもの。
基本的に前2作の登場人物は出てきません。
さらに言うと、
「第一次世界大戦を舞台にしているから、歴史を知らないと理解できないのでは?」と敬遠している人も多いのではないでしょうか?
でも大丈夫!
歴史を知らない人でも十分に楽しめる作品になっています!
この「キングスマン」シリーズはいわゆる『陰謀論』を題材としたスタイリッシュなスパイアクションです。
その中でも特に今作は、歴史上の大事件や実在の人物が物語に深く関わっているのが大きな魅力!
だからこそ、背景を少し押さえるだけで理解がぐっと深まり、物語の奥行きを楽しむことができるんです。
本記事では、高校世界史レベルの知識でわかるように、作品の舞台となる歴史的背景や、物語に込められたテーマ、さらに知っておくと楽しさが倍増する小ネタまで徹底解説します。
歴史好きの皆さんにこそおすすめの内容です。
この記事を読み終えたときには、「キングスマンを観てみたい!」という知的好奇心がきっと湧いてくるはずです。

作品概要

| タイトル | キングスマン:ファースト・エージェント |
| 原題 | The King’s Man |
| 公開年 | 2021年 |
| 制作国 | アメリカ、イギリス |
| 時間 | 131分 |
| 監督 | マシュー・ヴォーン |
| キャスト | レイフ・ファインズ(オックスフォード公)、ジェマ・アータートン(ポリー)、リス・エヴァンス(ラスプーチン)、ハリス・ディキンソン(コンラッド)、ジャイモン・フンスー(ショーラ)、マシュー・グード、トム・ホランダー、ダニエル・ブリュール、チャールズ・ダンス、アーロン・テイラー=ジョンソンほか |
| 作品概要 | 『キングスマン』シリーズの前日譚として、第一次世界大戦前夜の1914年を舞台に、英国貴族オックスフォード公とその息子コンラッドが、国家に属さない秘密結社「キングスマン」の起源となる組織を築き、世界を破滅に導こうとする“闇の狂団”に立ち向かう物語。史実の人物(ラスプーチン、マタ・ハリ、レーニンなど)がクロスオーバーし、スパイアクションと親子ドラマが融合した作品。 |
事前に知っておきたい歴史的背景

映画『キングスマン:ファースト・エージェント』を120%楽しむために、まずは物語の土台となっている歴史的背景を少しだけ予習しておきましょう。
複雑に思えるかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば、驚くほど物語への理解が深まります。
時代と地理的な舞台 ― 第一次世界大戦前後のヨーロッパ
この映画の舞台は20世紀初頭、「第一次世界大戦」が勃発する直前のヨーロッパです。
この時代のヨーロッパは、「列強同士の対立と帝国主義の拡大」に支配されていた時代なのです。
なぜなら、当時のヨーロッパは各国の思惑が複雑に絡み合い、いつ戦争が起きてもおかしくない張り詰めた空気感が物語全体の緊張感を支配しているからです。
19世紀末から20世紀初頭、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアといった大国は、植民地や影響力をめぐって世界中で争っていました。
アフリカ分割やバルカン半島をめぐる利害対立は、ヨーロッパを「いつ爆発してもおかしくない火薬庫」にしていたのです。
作品中で描かれる「闇の組織の暗躍」は、史実の複雑な国際関係をモチーフにしています。
現実のヨーロッパもまた、同盟や対立の連鎖が絡み合い、一つの事件が大戦へと発展する危うい状況にありました。この緊張感を知っておくと、映画の世界観がよりリアルに感じられるでしょう。
ストーリー理解に必要な歴史的知識
結論として、物語を深く理解するためには、第一次世界大戦のターニングポイントとなった実際の事件を知っておくことが不可欠です。
その理由は、映画のストーリーが「サラエボ事件」や「ツィンメルマン電報事件」といった史実を大胆にアレンジしながら展開していくからです。
具体的には、以下の3つのキーワードを押さえておくと良いでしょう。
三国同盟と三国協商
当時のヨーロッパ列強は、三国同盟と三国協商の陣営に二分していました。
この対立構造が、第一次世界大戦の基本的な構図となります。
ドイツ・オーストリア=ハンガリー・イタリアが三国同盟を結び、イギリス・フランス・ロシアは三国協商で対抗しました。
これにより、ある一国の一地域の政治的な事件が起これば、みるみるうちに大国同士の戦争へと発展する状態となっていたのです。
映画に登場する陰謀組織の暗躍も、まさにこうした同盟関係が複雑に絡み合った現実をベースにしています。
同盟の存在を知っていると、なぜ一国の事件が一気に世界大戦へ広がったのかが理解しやすくなるでしょう。
サラエボ事件と第一次世界大戦の勃発
第一次世界大戦は、1914年にオーストリア皇太子夫妻がセルビア人の青年に暗殺されたサラエボ事件をきっかけに始まります。
暗殺を受けてオーストリア=ハンガリーがセルビアに宣戦布告すると、同盟関係を通じてドイツ、ロシア、フランス、イギリスが次々と参戦。
ヨーロッパ全体を巻き込む戦争に発展しました。
映画の世界では陰謀組織がこの事件を裏で操っていたと設定されます。
史実を知っておくと、この脚色がよりドラマチックに感じられるはずです。
ツィンメルマン電報事件:アメリカ参戦のきっかけ
物語を理解するうえで押さえておきたいのは、アメリカが第一次世界大戦に本格参戦するきっかけとなった事件です。
1917年、ドイツはメキシコに「アメリカと戦えば領土を取り戻せる」と秘密電報を送ります。
これがイギリスによって傍受され、アメリカ国民の反独感情を一気に高めました。
これがいわゆる「ツィンメルマン電報事件」です。
これが決定打となり、それまで中立を保っていたアメリカが連合国側として参戦。
戦争の流れを大きく変えました。
劇中では史実をベースにした通信の暗号化や外交工作が物語の鍵を握ります。
ツィンメルマン電報事件を知っておくと、アメリカの動きや物語の展開がスムーズに理解できるでしょう。
物語の鍵を握る実在の登場人物たち
劇中には歴史の教科書にも登場するような実在の人物が、物語の重要な鍵を握るキャラクターとして登場します。
なぜなら彼らの実際の人物像や関係性を知ることで、映画の脚色の面白さやキャラクターの背景をより深く味わえるからです。
特に注目すべきは以下の人物たちです。
複雑な関係?英・独・露の皇帝はいとこ同士
イギリス国王ジョージ5世、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世、そしてロシア皇帝ニコライ2世は、なんと全員がイギリスのヴィクトリア女王を祖母に持つ「いとこ同士」でした。
血縁関係にありながら、国としては敵対しなければならない彼らの複雑な立場が、物語に人間ドラマとしての深みを与えています。
『キングスマン:ファースト・エージェント』では、同じ顔をした俳優が3人の皇帝を演じ、彼らの奇妙な関係性を風刺的に表現しています。
この背景を知っていると、作品のユーモアや皮肉がより理解できます。
ロシアの怪僧「ラスプーチン」
映画において強烈な存在感を放つラスプーチンは、実際にロシア皇帝一家に深く関わった怪僧です。
血友病を患うアレクセイ皇太子の治療で奇跡を起こしたとされ、ラスプーチンは皇后アレクサンドラの厚い信頼を受けました。
その影響力は政治にまで及びます。
『キングスマン:ファースト・エージェント』では、ラスプーチンは武術と舞踏を融合させた奇怪な戦闘を繰り広げます。
史実でも奇行や暗殺未遂を繰り返し伝説化された人物だったため、キャラクター表現に説得力が生まれています。
悲劇の女性スパイ「マタ・ハリ」
映画にも登場するマタ・ハリは、第一次世界大戦期に名を馳せた伝説的な女性スパイです。
オランダ出身の彼女は、エキゾチックな舞踏でヨーロッパ上流階級を魅了。
その一方で、ドイツのためのスパイ行為を疑われました。
スパイ活動を行った容疑で処刑されたことで知られています。
映画では「妖艶な諜報員」として描かれますが、実際にはスパイとしてどこまで有能だったかは不明です。
それでも「伝説のスパイ」として物語を彩る存在感は抜群です。
ストーリー・あらすじ

あらすじ ― 父と息子の葛藤から始まる物語
『キングスマン:ファースト・エージェント』のストーリーの核心は、戦争をめぐる父と息子の価値観の違いから始まります。
父は「平和のために影で戦う」ことを重視し、息子は「祖国のために正面から戦う」ことを望むからです。
主人公オックスフォード公は諜報活動で戦争を防ごうとしますが、息子コンラッドは若さゆえの正義感から軍隊に志願します。
この考えの違いが親子の衝突を生み出します。
コンラッドの決断は物語の転換点となり、その行動が後に父の覚悟を変えるきっかけに。
単なるスパイ映画ではなく、家族の物語としても心に残る展開です。
作品のテーマ ― 戦争の理不尽さと親子の絆
本作のテーマは「戦争の不条理」と「親子の絆の再生」といえるでしょう。
戦争の理不尽さを浮き彫りにする展開
映画は、第一次世界大戦という歴史の中で、多くの若者が命を落とす現実を強調します。
戦争は個人の意思に関わらず、国家間の対立に巻き込まれるからです。
どれだけ理想や正義感を抱いても、戦場では生死が偶然に左右されることが多いのです。
コンラッドの運命はその象徴であり、観客に強い印象を残します。
彼の悲劇的なエピソードは、戦争の不条理さを端的に伝える強力なメッセージとなっています。
親子の価値観の対立と和解
父と息子の衝突は、最終的に絆を深めるきっかけになります。
物語は、平和を願う父と祖国のために戦いたい息子の衝突を軸に進みます。
父は「守るための戦い」を学び、息子は「行動の重み」を理解するからです。
この親子の価値観の対立は、スパイ映画としての娯楽性に人間ドラマを加えているといえるでしょう。
単なる派手なアクションの裏に、家族の愛情という普遍的なテーマが込められています。
キングスマンの理念につながるテーマ性
戦争の無意味さと親子の経験が、やがて平和を守るためのスパイ組織設立につながります。
オックスフォード公の体験は、後にキングスマンの信条「マナーが紳士を作る」へと結実します。
この映画を通じて、観客はキングスマンという組織の存在意義を改めて理解できるのです。
「影で戦うことで平和を守る」という考えが形になり、
シリーズ全体の根幹に結びついているといえるでしょう。
ストーリー構造
序章 ― 家族の誓いが物語を動かす
物語は父オックスフォード公と息子コンラッドの「守るべきもの」をめぐる誓いから始まります。
家族の平和を願う父と、戦場に立ちたい息子の価値観の衝突が物語全体を導くからです。
冒頭で妻を亡くした経験を持つ父は「息子を戦争に行かせない」と固く誓う一方、コンラッドは成長するにつれて「国のために戦いたい」という使命感を抱く。
この対立が物語の出発点となるのです。
中盤 ― 世界大戦と陰謀の渦
中盤は第一次世界大戦を舞台に、国際的な陰謀と親子の選択が交錯します。
戦争という巨大な歴史的事件の中で、個人の思惑と世界の運命が結びつくからです。
英独露の皇帝の関係や、ラスプーチンの暗躍といった史実をベースにした出来事が展開し、コンラッドが父の制止を振り切って従軍する場面は、家族の誓いが揺らぐ大きな転換点となります。
終盤 ― 親子の想いが未来を切り開く
やがて、喪失と葛藤を乗り越えた行動が「キングスマン」の誕生につながります。
個人的な悲しみと世界を救う使命が結びつき、物語のテーマが一気に収束するからです。
絶望から立ち上がり、戦争を終わらせるために立ち上がる。
その選択が「高貴なる者が弱き者を守る」という理念を形にし、秘密組織キングスマンの原点となるのです。
作品を理解するための小ネタ

歴史的背景を押さえたところで、次はさらに一歩踏み込んで、本作をより深く味わうための「小ネタ」をご紹介します。
映画に散りばめられたオマージュや象徴的なシーンの意味、そして史実とフィクションの境界線を知れば、あなたの知的好奇心はさらに刺激されるはずです。
映画オマージュの要素
本作には過去のキングスマンシリーズや、数々の名作映画へのオマージュが満載です。
なぜなら、これらの要素は長年の映画ファンをニヤリとさせるだけでなく、本作がどのような作品に影響を受け、どのような文脈に位置するのかを示唆しているからです。
具体的には、以下のような点に注目すると、監督の遊び心や作品へのリスペクトを感じ取ることができます。
「キングスマン」シリーズの原点
従来の「キングスマン」シリーズのファンならば、さらに本作を楽しめるシーンがてんこ盛りです。
なぜなら過去シリーズでおなじみとなったシーンやセリフの背景やその起源が「これでもか」というほどに描かれるからです。
例えば、「マナーが紳士を作る」というセリフが、どのような想いから生まれたのかが描かれます。
オックスフォード公が「力より品格こそが真の強さ」と語る場面は、次世代に受け継がれる価値観として印象的に提示されています。
また、スーツや拠点、武器など、後のシリーズでお馴染みとなる要素の“起源”が物語の中に散りばめられています。
テーラーが秘密基地になる設定や、傘を武器として用いる工夫などが、本作で初めて具体的に示されます。
観客は「ここから始まったのか」と気づくことで、スピンオフ的な楽しみを得られます。
さらには、キングスマンのメンバーがアーサー王伝説に由来するコードネームを持つ理由も、語られるのです。
単体で鑑賞しても十分楽しいですが、シリーズを通して見るとより一層面白味がますのも本作の特徴ですね。
戦争映画とのリンク
舞台は第一次世界大戦当時のヨーロッパ。
特に塹壕戦を描いたシーンは、『西部戦線異状なし』や『1917 命をかけた伝令』といった名作戦争映画を彷彿とさせます。
スタイリッシュなアクションとは一線を画す、戦争の泥臭さや悲惨さをリアルに描くことで、本作の「反戦」というテーマを際立たせています。
この辺りは従来の「キングスマン」シリーズとは異なる部分ですが、史実とフィクションを橋渡しする重要な舞台設定になっています。
同じく第一次世界大戦を舞台としたこれらの映画に興味がある人は、ぜひ次の記事も参考にしてくださいね。


強烈なインパクトを残す象徴的なシーン
本作には単なるアクションの見せ場に留まらず、物語のテーマを象徴する非常に重要なシーンがいくつも存在します。
その理由は、これらのシーンに込められた隠喩やメッセージを読み解くことで、監督が本当に伝えたかった作品の核心に触れることができるからです。
特に以下のシーンは、その裏に隠された意味を考えながら観ることで、より深い感動と理解を得られるでしょう。
狂気の戦闘舞踊!ラスプーチンとの「死のダンス」
ロシアの怪僧ラスプーチンが見せる、バレエやコサックダンスを取り入れた戦闘スタイルは、彼の狂気と不気味さを象徴しています。
チャイコフスキーの名曲「序曲1812年」が流れる中でのこの戦いは、国家間の争いが個人の狂気によって引き起こされていく様を暗示しているかのようです。
戦争のリアルを描く「塹壕」での死闘
これまでのキングスマンシリーズとは全く異なる、リアルで凄惨な塹壕での戦闘シーンは、本作のテーマである「戦争の無意味さ」を最も色濃く反映しています。
理想や正義を抱いて戦場へ向かった若者が、いかに無慈悲に命を落としていくか。
このシーンは、オックスフォード公の平和主義が単なる理想論ではなく、痛切な経験に裏打ちされたものであることを観客に突きつけます。
キングスマン誕生のラストに込められたメッセージ
物語の最後にキングスマンが正式に設立されるシーンは、単なる組織の誕生秘話ではありません。
悲しみを乗り越えたオックスフォード公が、二度と若者たちを無意味な戦争で死なせないために、権力者の思惑に左右されない組織の力で平和を守ろうとする固い決意の表れなのです。
どこまでが史実?フィクションとの境界線
この映画は史実を巧みに利用していますが、その核心部分は大胆なフィクションで構成されています。
なぜなら、監督は史実を「もしも歴史の裏で、ある秘密組織が暗躍していたら?」というエンターテイメント的な視点で再構築し、歴史の新たな楽しみ方を提示しているからです。
史実とフィクションの境界線を知ることで、歴史の「if」をより楽しむことができます。
キングスマンと闇の狂団は架空の組織
言うまでもありませんが、主人公たちが所属するスパイ組織「キングスマン」や、世界大戦を裏で操る「闇の狂団」は、この映画シリーズオリジナルの架空の存在です。
第一次世界大戦という史実のテーマをリアルに描きつつも、陰で操る秘密組織を設定することで「歴史+スパイアクション」という独自ジャンルを成立させていると言えるでしょう。
大胆に脚色された歴史上の人物たち
ラスプーチンやマタ・ハリが「闇の狂団」の一員として暗躍する姿は、あくまでフィクションです。
しかし、彼らが実際に持っていたミステリアスなイメージを最大限に膨らませることで、非常に魅力的なキャラクター造形に成功しています。
ラスプーチンは怪僧としてロシアの政治に影響を及ぼした重要人物です。
マタ・ハリも史実では諜報活動が疑わしいとされますが、映画では明確にスパイとして描かれています。
「実はこうだったかもしれない」という見事な演出で、歴史好きの人もまた違った楽しみ方ができますね。
次回作への伏線?ポストクレジットシーンの”あの人物
物語の最後には、誰もが知る“ある有名な歴史上の独裁者”が登場し、次回作への不穏な伏線が張られます。
これは、キングスマンの戦いが第一次世界大戦後も続いていくこと、そして史実とフィクションの融合がさらに加速していくことを予感させます。
作品の評価・口コミ

| レビューサイト 評価 | 総合評価 | 66.43 | |
| 国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.83 | |
| Filmarks | 3.8 | ||
| Yahoo!映画 | 3.9 | ||
| 映画.com | 3.8 | ||
| 海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 56.20 | |
| IMDb | 6.3 | ||
| Metacritic METASCORE | 44 | ||
| Metacritic USER SCORE | 5.3 | ||
| RottenTomatoes TOMATOMETER | 41 | ||
| RottenTomatoes Audience Score | 80 | ||
国内外のレビューサイトを見ると、全体として批評家と一般観客の間で評価が分かれる傾向にあります。
批評家の評価では、 賛否両論、もしくは平均的なスコアに留まることが多いです。
Rotten Tomatoesの批評家スコア(Tomatometer)は40%台、Metacriticのスコア(Metascore)も44/100と厳しい評価が見られます。
一方で、一般観客の評価は 批評家と比べると総じて好意的です。
Rotten Tomatoesの観客スコア(Audience Score)は80%、IMDbでは6.3/10、日本の各種レビューサイトでも5点満点中、3点台後半の点数を得ていて、一定の満足度を得ていることがうかがえます。
この評価の差は、「観客がこの映画に何を期待していたか」によって生まれているようです。
多く見られるコメントの傾向
レビューでよくみられるコメントは主に次のようなポジティブなコメント、ネガティブなコメントに分かれます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 第一次世界大戦を背景にした悲劇や、反戦のメッセージを評価する声:「これまでのシリーズとは全く違う、重厚な戦争ドラマとして見ごたえがあった」「キングスマン誕生の理由を描く前日譚として、非常に納得のいくシリアスな物語だった」など
- キャストの演技に対する賛辞:「主演レイフ・ファインズの英国紳士としての品格と、息子を想う父としての苦悩の演技が素晴らしかった」「怪僧ラスプーチンを演じたリス・エヴァンスの狂気じみた怪演が最高。彼のアクションシーンは必見」など
- 物語の核となる親子愛のドラマに心を打たれた:「スパイ映画というより、戦争に翻弄される父と子の物語として感動した」「息子の死を乗り越えてキングスマンを創設するオックスフォード公の姿に泣けた」など
- 前シリーズのようなエンタメ性を期待していたファンの不満:「キングスマンらしい、ポップでクレイジーなスパイアクションを期待していたので肩透かしを食らった」「ユーモアやガジェットが少なく、爽快感がなかったのが残念」など
- ストーリーのペース配分や構成に対する批判的な意見:「物語の前半がスローで少し退屈に感じた」「スパイ映画、戦争映画、歴史ドラマとジャンルが混在していて、どっちつかずな印象を受けた」など
- アクションシーンの量や質に対して、物足りなさを感じた:「ラスプーチン戦は面白かったが、それ以外のアクションは前作ほど独創的ではなかった」など
総括
これらのレビューをまとめると、『キングスマン:ファースト・エージェント』は、従来の「キングスマン」シリーズのようなポップで爽快なスパイアクションをはあまり期待できないかもしれません。
一方で、「第一次世界大戦を舞台にしたシリアスな歴史ドラマ、キングスマン創設の理念を描く重厚な物語として観れば非常に見ごたえがある作品」
と評価されていると言えるでしょう。
監督・脚本・キャスト

重厚な物語とスタイリッシュなアクションが融合した『キングスマン:ファースト・エージェント』。
その唯一無二の世界観は、情熱あふれる作り手と、役に魂を吹き込んだキャストたちの存在なくしては語れません。
彼らの舞台裏を知ることで、作品が持つ熱量をより感じてみましょう。
監督:マシュー・ヴォーン
本作の面白さの核には、監督であるマシュー・ヴォーンの「キングスマン」シリーズへの強い情熱と、彼独特の作家性が存在します。
なぜなら、彼は本作を単なるシリーズの過去編としてではなく、キングスマンという組織の根底に流れる「反戦」と「平和への意志」という精神性を描くことに、並々ならぬこだわりを持っているからです。
そのこだわりは、彼の映画作りの随所に表れています。
彼はシリアスな歴史ドラマの中に、キングスマンらしい過激でユーモラスなアクションを盛り込む脚本を執筆し、主演のレイフ・ファインズを「やりすぎでは?」と心配させたほどです。
また、『キック・アス』や前作『キングスマン』で若手俳優の才能を開花させてきた彼は、本作でもコンラッド役にハリス・ディキンソンを抜擢。
彼の慧眼が、物語にフレッシュな魅力を与えています。
一方で、本作は初めて「歴史を正面から扱う挑戦」となった作品です。
彼自身も「歴史とエンタメを融合させる新しい挑戦」と語っており、過去のユーモア主体の作風とは一線を画しているのも特徴です。
主要キャストの豆知識
本作の重厚な人間ドラマは、実力派キャストたちの徹底した役作りと、作品にかける熱い想いによって支えられています。
なぜなら、彼らは脚本に書かれたキャラクターを演じるだけでなく、その背景にある感情や身体的な表現を追求することで、歴史上の人物や架空のヒーローに確かな実在感を与えているからです。
特に以下の3人の俳優の舞台裏エピソードは、彼らのプロフェッショナリズムを物語っています。
レイフ・ファインズ(オックスフォード公):名優が挑んだ本格アクション
『ハリー・ポッター』のヴォルデモート卿などで知られる英国の名優レイフ・ファインズは、本作で新境地とも言える本格的なアクションに挑戦しています。
彼は飛行機にしがみつく危険なスタントにも自ら挑み、製作総指揮も兼任するなど、作品に深くコミット。
平和を願いながらも、息子のために戦うことを決意する父親の葛藤と覚悟を見事に体現しました。
ハリス・ディキンソン(コンラッド):監督に見出された期待の新鋭
物語のもう一人の主人公、コンラッドを演じたのは、監督が「10分話しただけで惚れ込んだ」という期待の若手、ハリス・ディキンソンです。
国を想う純粋な正義感と、若さゆえの危うさを持つ青年という難しい役どころを瑞々しく演じ、父役のレイフ・ファインズからも「知的でユーモアのセンスもある素晴らしい俳優」と絶賛されました。
リス・エヴァンス(ラスプーチン):観る者を圧倒する狂気の役作り
本作で最も強烈なインパクトを残す怪僧ラスプーチン。
演じたリス・エヴァンスは、この役を体現するために常軌を逸した役作りを行いました。
地獄から響くような声質を作るために毎晩枕に向かって叫んでわざと声を枯らし、コサックダンスを取り入れた狂気の戦闘シーンのために数ヶ月間のトレーニングを積んだそうです。
彼の怪演が、本作を唯一無二の作品に押し上げています。
まとめ

まとめ
- 本作は第一次世界大戦期を舞台に、史実とフィクションを巧みに織り交ぜた「キングスマン誕生秘話」を描いた壮大なスパイアクション
- 史実上の人物や出来事を大胆に脚色しつつ、ファンならばおなじみのセリフや組織の設立背景や陰謀を盛り込むことで、独自のエンタメ性を強調している
- スタイリッシュなスパイアクションの裏で、「反戦」という強いメッセージを投げかけて、普遍的な親子のの葛藤を描く物語としても非常に見応えがある
- 監督マシュー・ヴォーンのスタイリッシュな演出と脚本が、歴史劇とアクション映画を融合させた新しい体験を提供してくれる
- レイフ・ファインズやハリス・ディキンソンなど、重厚さと新鮮さを兼ね備えたキャスト陣が物語に深みとリアリティを与えている
いかがでしたでしょうか。
ここまで読んでくださったあなたは、もう『キングスマン:ファースト・エージェント』を、ただのアクション映画として見ることはないはずです。
作品の背景にある歴史を知ることは、遠い昔の出来事を学ぶだけではありません。
それは、現代のニュースの裏側を読み解く力となり、人との会話を豊かにし、あなたの日常をより知的で刺激的なものに変えてくれる、最高の「教養」となるはずです。
さあ、まずはこの週末、『キングスマン:ファースト・エージェント』を鑑賞してみませんか?
あるいは、あなたが少しでも心惹かれた歴史上の出来事をテーマにした映画を、手に取ってみるのも素晴らしい一歩です。
映画という最高にエキサイティングな教科書を開いて、あなたの知的好奇心の扉を開きましょう。
その先には、昨日より少し世界が面白く見える、新しい日常が待っています。

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